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いったいどこに行って人を探して来たんですか?
まず、エリートと言ったら東大ですよね。後楽園ドームの裏に後楽寮という中国人留学生の寮のがあるんです。そこに飛び込んで行って、東大の学生を集めて話をしたら、誰もそんな仕事はできないという。理工系は駒場だからそっちに行かなきゃダメだと。それで、駒場キャンパスに行って、誰か中国語ができる人、留学生はいないかと探して、いろいろと人を集めて話をしました。すると、一人の留学生が「私はできない。でも、私の家内ならできるかも知れない」と言うんです。「なぜ、奥さんはできるの?」と聞いたら、夫婦ともに中国の工業大学の先生だったんです。
奥さんはOSを教えるのにOSがあまり分からなかったので、よくパソコンの前に座り込んでいました。ある日突然、「見えた!」と叫んで、「OSが全部見えた」と言ったことがあるそうです。
「奥さん、今何をしているんですか」と聞いたら、「レストランで皿洗いをして働いている」と。それで、すぐ皿洗いをしている所に飛んで行って、話をしました。
すごい行動力ですねえ。
奥さんに「OSシステムが移植できますか」と聞いたら「できます、難しくありません」と言う。それでお願いすることにしました。パソコン2台と助手2人が必要だから、助手をもう一人探して下さいと言われて、電通大にいる博士でシステムに興味がある人を連れて来たんです。全部で600万円で仕事をお願いしました。
それじゃ、利益が残らないじゃないですか。
それは仕方がないので、全部やってもらったんです。結局、奥さんと電通大の助手の2人で、3ヶ月間で完璧に終わらせて納品しました。
結局、私の手元に残ったのは200万円。でも、この200万円があったおかげで、長城コンサルティングは会社を続けることができました。しかし、納品した後で、その女性は発注元の契約社員になりました。
それで考えたんです。日本では、優秀な人材がいないと良いビジネスができないと思い、中国で日本と結ぶシステムのオフショア開発事業をすればいいのではないかと思いました。
その後、中国に帰ったら友達が「親戚の子供が大学を卒業して、仕事が見つからないで困っている」と言うんです。何を勉強していたかと聞くと、ソフトを勉強していたという。「それじゃ、私の会社が仕事を持って来くるから、彼にやらせるのはどうでしょう」と言ったら、「それは良い提案だ」ということになったんです。
それで、また株主の社長さんたちを集め宴会して、「仕事を中国に出しませんか」とお願いしました。みなさんは、いい提案だと賛成してくれて、また、先に日本で研修した技術者が帰国というきっかけに中国でCADの開発を発注してくれたんです。そのため、1990年に北京大凱科技有限公司を設立しました。
大学院で勉強しながら、会社もちゃんとやってたんですね。
そうですね。92年に大学院を卒業してから、社長業一本でやり始めたんです。今あらためて会社の歴史を振り返ってみると、最初から技術より人材だったんですね。やっぱり、人材の大切さが分かっているからこそ、ずっと今日までやって来れたんだと思います。
人材資源のコンサルティングとは、人材がどこにあるのか、どういう人材が一番使いやすいのか、一番効率よく使えるかを考えることです。昨日もある会社に行って、中国の新卒の理工系学生はいかがですかと提案したんです。すると先方の返事は、「それよりまず日本にいる留学生を使います」というんです。
確かに留学生は日本語が非常に上手で、日本の文化も分かっている。
でも、問題は理工系・情報系の学生が少ないことなんです。文科系の学生が多くて、専門性が足りないんですね。でも、中国にいる理工系の卒業生たちは、日本語は弱いけど技術レベルが非常に高いんです。
だから、その会社に「まず1、2名ぐらい受け入れて、やって見たらどうですか。たぶん、2年後に差が出て来ますよ」と説明したら、納得してもらえました。
中国のどこに優秀な学生、最適な人材がいて、どうアプローチすればいいかは把握しています。今でも大連と長春の大学に奨学金を出しているんです。金額はそんなに多くありませんが、必要な所にどういうふうにアピールすればいいか、どういうふうに誘導するかとか、ある程度分かっていますからね。それがあるから人材資源のコンサルティングができるんじゃないかと思いますね。中国市場コンサルティングも同じだと思います。
今日は、社長の過去のいろいろな苦労話や仕事に対する考え方が聞けて、非常に楽しかったです。どうもありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
こちらこそ、どうもありがとうございました。
来日して会社経営(2/3)